なかなか抜けなかった親知らず

私が新宿の内科で下の歯の右奥の親知らずに違和感を感じ、歯医者に行くと結構な虫歯になっていると告げられました。かなり深くまで悪くなっているし、このままほおっておくとより悪くなる確率が高いから、抜いた方が良いと言われたので、その場で親知らずを抜くことに決めました。

まず先生が、様子を見るためにレントゲンを取りました。すると、私の親知らずは根っこが長くてとても立派だと言うことが分かりました。今から抜く予定の物を立派だと言われても、複雑な気分ですし、抜きやすさということを考えると逆に不安な気持ちにしかなれませんでした。

麻酔を打たれて、その痛さに半泣きになりながら治療が始まりました。機械で親知らずを破砕して少しずつ摘出しているようですが、先生の表情が冴えません。どうやら根っこが立派過ぎて根元の方が取れないようです。それからも機械をあれこれと動かしながら先生が奮闘されましたが、なかなか抜けません。

そこで先生が「ちょっと我慢してね」と言われたあと、私の顔に乗り上げるようにして向かってきました。ペンチのような器具で根っこを引き抜こうとしていますが、まず根を顎の肉から切るためになのかグッ、グッと先生が体重をかけながら器具で押さえ込んできます。

私はその迫力と以前、顎関節症を患っていたこともあり、衝撃で顎が外れるんじゃないかという恐怖で治療が早く終わることだけを願い続けました。

終わってみると僅か1時間半ほどの治療でしたが、今でも忘れることのできない出来事になりました。